お客様が食事を楽しむためには、どのような椅子が設置されているのかも大切な要素のひとつです。座面がふっくらとして座りやすいのか、座面とテーブルの高さのバランスは適切であるかどうかなど、一言で椅子と言っても確認しておくべきポイントはいくつかあります。
まずは、お店の業態や値段設定に見合った椅子を導入するようにしましょう。価格設定を高めに設定する店舗を運営するのであれば、それに見合ったデザインや素材の椅子を設置する必要があります。一方、カジュアルなスタイルの飲食店舗を運営する際に、ラグジュアリー感の強い椅子を設置するとお客様にちぐはぐな印象を与えてしまうことにもなりかねません。
居抜き物件などの貸店舗を探す際には、壁紙やテーブル、カウンターなどが残された状態で、実際に使用されていた椅子も残されているケースが一般的です。特にスケルトン状態から作り込みのされた物件であれば、それらのデザインのトーンや印象が統一されている傾向にありますので、店舗のイメージが統一されているというメリットがあります。あとは、自分の開業したい業種や店舗のイメージと一致しさえすれば、イニシャルコストを大幅におさえて店舗開店の準備を進めることができます。
一つ注意したいのが、椅子の在庫数です。椅子は消耗品でもありますので、せっかくイメージ通りの椅子が設置された居抜き物件を入手することができたとしても、消耗のために入れ替えるための椅子がなければ新しく購入しなければなりません。特殊な種類の椅子の場合は、すでにその椅子が流通していないために新しく入手することができない恐れがあります。そのため、デザイン性のあまり高くない、量販型のものを導入する飲食店舗が少なくありません。
お客様の利用するスペースで重要な機能を果たすアイテムのひとつでもありますので、椅子の選定にあたっては十分に検討をしておくことが大切です。時間が経ってしまったことにより不足分の補充ができなくなった場合でも、似たようなデザインのものが手に入りやすいかどうかということも、事業の継続性の観点からも重要なポイントです。
このように、椅子にはさまざまな側面があるため、デザイン性の高さだけで選択するのではなく、継続的に手配をすることができる範囲内のデザインであるかどうかの現実的な見極めを行なうこと、座面のカバーが汚れた際にメンテナンスをしやすい仕様になっているかどうかなど、いろいろな側面から検討をするようにしましょう。
