ダクトとは、店舗などで空調や排煙、換気などを行うために設置される設備で、店舗の天井付近にシルバーの配管が配されているのをご覧になられたことがあると思います。ダクトがあらかじめ設置されている店舗を居抜きで購入することで、どれくらいの費用を節約することができるか、考えてみましょう。
ここでは、3階建ての1階の居抜き店舗を購入し、3階の屋上までダクトを通すケースで費用を計算してみます。ダクトを設置するために必要な工事としては、ダクトの設置以外に、足場の設置、外壁面にダクト貫通用の穴開けと補強、排風機を設置するための設置作業、電気系統工事そして、場合によっては機材を屋上へ上げるためのクレーン費用が必要になることもあるでしょう。
こういった工事以外にも、物件が自社ビルであった場合は、工事やダクトの設置に関する許可申請を行う手間も必要になります。一般的な場合を想定したとしても、数百万円は覚悟しなければなりません。
居抜き店舗を購入するメリットは、こういった費用や手間に頭を悩ますことがない、という点に尽きます。ダクトを設置しない、という選択肢も考えられなくはありませんが、煙が出るような飲食店を経営する際には、ダクトを設置する義務がありますので、覚えておいてください。
ダクトの設置方法にもいくつか種類があり、先に紹介した屋上までダクトを通して行う方法以外にも、店舗の横に通して排煙・換気する方法があり、こちらの方が工事も簡単で、費用もそれほどかかりません。しかし、周辺の住居や店舗などへの配慮を考えると、やはり屋上まで通して行う設置方法の方が評判が良く、居抜きでの物件購入の際には、屋上設置型に人気が集まります。煙や匂いの発生しやすいラーメン屋、中華料理屋、焼肉屋などの店舗の経営を考えているようでしたら、このタイプのダクトシステムを選ぶといいでしょう。
ダクト付きの居抜き物件を購入する際に気をつけておきたいことは、ダクトの清掃がどの程度行われているかという点です。初期費用が掛からないのは大きなメリットですが、以前、十分な清掃が行われていなかったダクトをそのまま使用する際に、ダクトの換気扇に汚れが付いていたりして、十分な換気・排気が行われないと、他の器具や設備にススやほこり、油分などが付着して思わぬ故障を招くことも考えられます。居抜き店舗の購入の際には、こういった点を総合的に考慮しながら検討しましょう。
ぶけなびには様々なタイプのダクトの付随した居抜き物件を掲載していますので、自分の店舗にはどのようなダクトが必要なのかを想定した上で、候補を探してみるといいでしょう。