業務用の電子レンジの特徴のひとつは、まず家庭用の電子レンジに比べて加熱がとてもスピーディーであるということです。例えば、常温のおにぎり1個を加熱する場合、家庭用の500ワットの電子レンジで40秒のところが、業務用の電子レンジでは1800ワット程度の高出力のため、15秒程度で加熱することができます。200グラムの焼きそばであれば、家庭用が2分30秒のところ、業務用では28秒というデータがあります。
一方、冷凍状態の食材の加熱スピードも大きく異なります。270グラムの冷凍ピラフの場合、家庭用の電子レンジで6分必要なところを、業務用の電子レンジでは1分40秒で解凍・加熱を行なうことができます。シュウマイ10個にいたっては、家庭用が4分、業務用は57秒というハイスピードです。
これまで冷凍食品に対してはあまり美味しくないといったイメージがあったものですが、近年の技術の進歩により冷凍技術が大きく向上し、店舗での提供にも支障のないレベルの冷凍食品が増えてきています。また、それを解凍する解凍技術も進歩していますので、今後ますます業務用の電子レンジのニーズは高くなっていくでしょう。
業務用の電子レンジは加熱プログラムも多彩で、かつメモリー機能も豊富に搭載されていますので、さまざまな調理や食材の加熱に利用することができます。店舗によっては複数台を設置することが必要になりますが、上下に2台を積むことができるような仕様になっていたり、50ヘルツと60ヘルツのどちらにも対応していたり、さらには数多くの回数ドアの開閉を行なっても故障したりすることのないように、耐久性にも配慮されていたりなど、家庭用の電子レンジと比較して堅牢な作りになっています。
これだけ機能が豊富でハイパワーな厨房設備ですので、購入にあたっては必ずしも安価というわけにはいきません。さらに、これから飲食店舗を開店しようと準備をしているのであれば、電子レンジ以外にもさまざまな厨房設備を導入する必要がありますし、内装工事や広告宣伝、従業員の応募や研修など、いろいろな部分でコストを想定しなければなりません。
経営者としては1円でも安く済ませたいというのが本音でしょうから、そういった場合にはやはり居抜き物件を利用した貸店舗での開業を検討するのもひとつの方法です。居抜き物件であれば、コストをカットできるだけでなく、開業までの時間を短くすることができるメリットもあります。