居抜き物件でよく見られるオーブンは、業務用ガス高速オーブンでしょう。このタイプのオーブンは、本体がステンレスでできており、焼くだけでなく、煮たり、蒸したり、揚げたりといった一通りの調理機能をカバーすることができる大変便利な調理器具で、居抜き店舗の既存設備の中でも人気リストの上位に挙げられます。
ガスを使っているとは言え、最近のオーブンでは空気断熱構造を採用し、本体からの輻射熱を大幅にカットすることに成功しています。これまで、夏場の厨房は高温になることが多々ありましたが、この低輻射熱型ガスオーブンを導入すると、厨房の温度を高温にすることなく、作業のしやすい環境作りを実現することが可能になります。
輻射熱を低減する機構として、オーブンの扉を二重構造にすることで、本体の表面温度を低減することが可能になっています。それだけではなく、調理中に扉を開け閉めする際の火傷を防止したり、表面に付着した汚れが焦げ付くことも少なくなるため、メンテナンスが楽になるといったメリットもあります。
また、高機能のオーブンでは、水蒸気を過熱したものを活用したヘルシーな調理が売りとなっているものもあります。過熱水蒸気とは、水を沸騰させて発生する水蒸気をさらに過熱した、100℃以上の高温水蒸気のことです。一般的な湯気は白く見えますが、高温水蒸気は無色透明で、熱風の8倍という、高い熱伝導率を備えています。この過熱水蒸気を食材に噴き付けることで、食材に大量の熱を伝えて一瞬のうちに芯から加熱するのです。
無駄なく瞬時に加熱できることで、食材の栄養素を壊すことなく、水分を保ったまま美味しく調理することが可能になりました。うまみ成分が保護されたまま、食感もふんわりと仕上がりますので、これからの加熱調理の主軸となるオーブンとも言われています。
近年のピザブームなどを受け、石釜焼きオーブンも注目を集めています。いわゆる遠赤外線の技術を活用したオーブンで、過熱水蒸気とは別の方法で、食材のみずみずしさを失うことなく、ふっくらと仕上げることが可能です。輻射熱に対する対応も行われていますので、作業環境を適切に保ちながら調理を行えます。このように、ヘルシーでエコなオーブンが生み出されてきてはいますが、一台あたり50万円以上といった高価な設備でもあります。
店舗の立ち上げには、オーブンだけでなく冷蔵庫やダクトなど、多くの設備を総合的に揃えなければなりませんが、すでにある程度の設備の備わっている居抜き物件を活用することで、初期費用を賢く抑えるため、ぶけなびの豊富な物件情報に目を通してみてください。
