これまでバーや居酒屋などとして営業を行なっていた店舗が居抜き物件の貸店舗となった際には、調理設備や什器などに加えて、在庫しているお酒もそのまま引き継ぐことができるケースがあります。そういうお酒のなかにはレアなものが含まれていることも少なくありませんので、意外と掘り出し物に巡り会うこともあります。
もちろん、お酒を必要とする飲食店舗はバーや居酒屋だけではありません。寿司屋や天ぷら屋などをはじめとする和食店においてはビールや日本酒、焼酎、ワインなどを提供していますし、洋食店においてもビールやワイン、洋酒などを取り揃えているのが一般的ですので、飲食店舗であればお酒を取り扱っているのが普通でしょう。
ただし、業態に見合ったお酒が何なのかを把握しておくことは大切です。例えば、そば屋でウィスキーやバーボンを提供するのは一般的ではありませんし、洋食店で焼酎を提供することもあまりみられません。つまり、自分の提供する料理に合うお酒が何かを把握しておくことが欠かせません。
また、ワインについては、比較的カジュアルに入手することのできるデイリーワインであればそれほど気にする必要はありません。何年間か熟成させることでよりうまみを増すタイプのビンテージワインの場合には、一定の温度と湿度で保管をすることのできるワインセラーが必要になります。どれだけ良い品質のワインであっても、保存の状態が適切でなければ、すぐにクオリティが落ちてしまいます。
日本酒についても、特に生タイプの原酒には賞味期限が設定されています。それを大幅に過ぎてしまうと味が落ちてしまいますので、どれだけ良いレーベルのお酒が付随した居抜き物件であっても、引き継ぐ際には賞味期限を過ぎていないかどうかはきちんと確認しておきましょう。実際に商品として提供することのできないお酒を引き継いでも、廃棄する手間が必要になってしまうだけです。
特にバーや居酒屋などの業種で居抜き物件を探す場合には、お酒の管理を適切に行なうことのできる厨房設備がそろっているかどうかを必ず確認しておきましょう。どれだけ良いお酒をひきつぐことができても、きちんと管理できる環境が整っていなければそのためのコストを用意する必要があります。
このように、お酒を含んだ居抜き物件の選択にあたっては、注意しておくべきポイントがいくつかありますので、総合的に検討することで開業後に後悔することのないように心がけましょう。
