飲食店舗を経営するにあたってどうしても必要となる厨房設備のひとつが食器棚です。飲食店舗では複数のお客様に食事をしてもらうための用意をしておく必要がありますので、使用する食器類はどうしても数多くなってしまいます。それらを適切に収納するためには、ある程度の容量の確保された食器棚を設置しなければならず、限られたスペースで動線を想定する必要のある厨房環境においては、どのような食器棚を導入するのかは経営者が頭を悩ませることのひとつです。
基本的には、店舗の面積の大小に応じて、それに見合った適切な食器の量が想定されます。そのため、居抜き物件などを貸店舗として利用するにあたっては、適切なサイズの食器棚が設置された状態で物件を引き継ぐことができますので、改めて必要なサイズなどを検討する必要がありません。
また、厨房が狭小なスペースである場合は、作業台の下部の棚の部分も食器棚にして限られたスペースを有効活用するなどの工夫が施されることが少なくありませんが、居抜き物件であればそういったノウハウや工夫もまるごと引き継ぐことになりますので、改めて動線について頭を悩ませることもほとんどないでしょう。
ただし、業種によっては利用する食器の種類が異なりますので、同じセット数であってもどれくらいのボリュームが必要になるのかは当然違ってきます。平皿などの多い和食店などに比べて、ナイフやフォーク、スプーンなどさまざまなカトラリーを用意しなければならないフランス料理店やイタリア料理店、洋食店などにおいては、状況は大きく異なるのは理解できるのではないでしょうか。
そこで、基本的には同じ業態での営業が行なわれていた居抜き物件を探すということが鉄則となります。同じ業態であれば、調理動線や必要な厨房設備、利用する食器の種類などがほぼ同じものになりますので、食器棚についても問題なくそのまま引き継ぐことが可能です。
ただし、居抜き物件を検討するにあたっては、きちんと物件の内見を行なうようにすることが大切です。図面や写真だけではそれぞれの設備や什器などの状態が分かりませんし、実際に目にしてみることでこれまでにどのようなメンテナンスが行なわれてきたのかが初めて分かります。
もしそのまま引き継いでもメリットがないような設備などが見つかった場合は、オーナーや不動産会社にそのことをきちんと伝えて調整をしてもらうようにしましょう。何も言わずに引き継いでしまったら、あとは自分の責任で処分をしなければなりません。