東京メトロ丸ノ内線の駅のひとつに、東京都文京区の茗荷谷駅があります。丸ノ内線は東京都内を走る数多くの地下鉄のなかでも歴史があって、東京西部の荻窪から北部の池袋までを円環上に結んでいるユニークな路線です。
茗荷谷駅は文京区にありますが、文京区は別名「文教地区」と呼ばれています。その名に違わず、茗荷谷駅の周辺にはお茶の水女子大学文教育学部や拓殖大学、筑波大学東京キャンパス文京校舎、筑波大学附属高校、跡見学園中学校などの多くの教育機関が密集しています。その間を縫うようにして住宅街が広がっており、まさにアカデミックな地域と言っていいでしょう。
このようなエリアの特性がありますので、茗荷谷駅周辺の飲食店舗の経営戦略としては、平日を中心として学生の利用を想定し、さらに周辺住民の利用を期待するといったものになっています。つまり、繁華街におけるような週末の重点的な営業戦略とは異なり、どちらかと言うと平日の利用を促進するような流れになっています。
若い学生の利用が多いということもあり、展開されている業種としては、カジュアルフレンチやイタリアン、カフェなど女性にも楽しんでもらえるようなものが比較的多くある一方、定食屋やチェーンの居酒屋、しゃれたダイニングバーやワインバーなどについても男子学生の利用やグループでの飲み会などでにぎわっています。
また、学生が休みの土日に関しては、地元に住んでいる家族連れでの利用がありますので、比較的コンスタントに飲食店を利用するニーズのあるエリアだと言うことができます。もちろん学生とファミリーでは細かな属性が異なりますので、オールマイティーに対応できる店舗がそれほど多いということにはなりません。
コストをかけないで飲食店舗を準備するためには、まず居抜き物件を入手することからスタートするといいでしょう。イニシャルコストを大幅におさえることができますので、事業の立ち上がりから安全運転でいきたいと考えているひとにとっては便利な方法です。
ただし、店舗作りやメニュー構成を検討するにあたっては、必ず店舗の想定するターゲットを具体的に描くようにしましょう。このターゲット設定が曖昧なままだと、学生とファミリーの双方にとって印象的にアピールすることが難しくなり、かえって集客面において悪い影響が出かねません。どちらも狙うのではなく、思い切ってどちらかに特化した店舗作りをする潔さが必要です。
