飲食店の看板は看板業者に頼まないといけないと思っていませんか。しかし実は飲食店の経営者やスタッフが手書きで書いた看板の方が、業者が作成した看板よりもはるかにアピールでき、集客力がアップする場合もあるのです。そういう点では手書き看板にはPOPと同じ効果があるとも言えます。そこでここでは、手書き看板で集客力をアップさせるためのポイントを12個ご紹介します。
どうやって書いたらよい?
まず手書き看板を書いたことがない人もいるでしょうから、どのように書けばアピール力がつくのかのノウハウをご紹介します。
ポイント手書き黒板とはどういうもの?
そもそも手書き看板とは、一般的にはどのような形式なのでしょうか。
手書き看板とは黒板型の看板
手書き黒板の多くは、地面に置くA型看板や、両面看板の面が黒板になっているものです。中にはホワイトボードのものもありますが、下手をすると安っぽく見えてしまうので、黒板型を選んだ方がよいでしょう。黒板型の看板は、看板専門店でも、インターネットの飲食店通販サイトでも購入できます。
書き換えることが可能だという利点を生かす
そして黒板型の手書き看板の最大のメリットは、季節や状況、推したいメニューなどによってフレキシブルに書き換えることができる点です。ですから頻繁に手書き看板は書き直すことが大切で、その分書き方がより重要になるのです。
ではどのように書いたらよいのかというポイントを以下挙げていきます。
ポイント1 文字色は見やすい色で、少ない色で
手書き看板に書く文字はまず目だたなければなりません。つまり見やすい色ということです。そこで、手書き看板の黒板は、黒か緑なのでその反対色である白や黄色をベースにしましょう。
また白と黄色以外にもいくつか色を使ってカラフルに仕上げてもよいですしょう。ただし、あまり多くの色を使うと、どの部分を強調したいのかの情報が混乱し、結局読んだ側に何の内容も伝わりませんので注意しましょう。使う色数は最大でも4色まで、たとえば白、黄色、赤、茶色、青などから選びましょう。
ポイント2 文字に強弱をつける
単に文字を書くだけではなく、文字に強弱をつけて1番どの情報を読む側に伝えたいのかを意識しましょう。文字にどのように装飾をして強弱のつければいいのかは、以下の通りです。
縦線だけを太くしてみる
多くの文字は縦線と横線の組み合わせです。ですからそのうちの縦線だけを太くすると、その文字がパソコンのフォントの明朝体のようになって強調されます。
文字の線の端に●をつけてみる
また文字の端を黒丸、つまり●で装飾をしても、その文字が強調されます。
文字の上半分を縦に伸ばしてみる
文字を上下に半分に分けて、そのうちの上半分の長さを1.5~2倍に伸ばしてみてもよいでしょう。そうすると。その文字に大人っぽい雰囲気が加わって強調されます。
文字の輪郭の周りを丸く囲む
目立たせたい文字の輪郭を、曲線で囲んでもよいでしょう。そうするとかわいい雰囲気が演出できます。
影が当たっているつもりで影だけを書く
少し高度な装飾方法ですが、文字に光を当てると想像した場合、その文字の側面が影になって全体が立体化するはずです。そこでその影だけを書いて、文字の輪郭を消してしまうのです。輪郭がないのに文字が読めてしまう不思議な装飾になってこれはこれで目立ちます。
ポイント3 看板にはあまり小さい文字は使わない
手書き看板は歩行者が歩きながらチラッと見るものです。ですから、離れた場所からも何が書いてあるかを明確にすることと、一瞬のチラ見で何が書いてあるか理解できるようにすることを心がけましょう。そのためには小さな文字は使わないことです。具体的には以下の基準です。
文字は最小で7cm角で
視力0.3の人にとっては、黒板に書かれた文字が5~7m離れて読める大きさは7cm角以上です。ですから文字は縦横7cm以上の大きさで書きましょう。
看板への文字量は15文字まで
さらに人間の目は意識してそのものを見ない限りは、1つのものに視線を与えるのは0.3秒です。そしてその0.3秒で読める文字数は15文字までです。したがって、手書き看板に書く文字量は、少なくともアイキャッチをする部分に関しては15文字以内にしましょう。
ポイント4 文字の代わりにイラストを入れる
文字以外に情報伝達をする大きな方法はイラストです。ですから文字の代わりにイラストを描いてもよいでしょう。ただし複雑なイラストはチラ見では認識できませんから、シンプルに描くことがポイントです。イメージで言うと、メールでつかう絵文字程度です。
あるいは写真を大きく拡大して貼ってもよいでしょう。
ポイント5 料金に集客力があれば金額を入れる
手書き看板をチラ見して、その内容に興味を持ってもらうためには、メニュー料金の安さが売りだったり、ディスカウントのキャンペーンをしているのであれば、その金額を入れるもの効果的です。
特にメニューに惹かれてもその料金がわからないと多くの人は入店を躊躇します。ですから、アイキャッチ的に料金を入れなくても、立ち止まってじっくり看板を読んだ時に、そこには料金も記載してある、というのがベストです。
人通りに複数の看板を置こう
手書き看板は人に読んでもらわないと意味がありません。ですから、歩行者から見て読める位置に設置しましょう。具体的には以下のポイントです。
ポイント6 看板は両面に文字を
歩行者は基本的に自店舗の前の道を左右の両方から歩いてきます。ですからどちらの方向から来る歩行者にも読めるように看板を置きましょう。可能であれば、両面に書ける手書き黒板を入手しましょう。片面しか書けない看板の場合は、場所の問題もありますが、2枚設置するのも方法の1つです。
ポイント7 自分で歩行者になって確認する
どのように設置するかは、経営者が自ら歩行者になって、実際に歩いて検討することが大切です。
季節感を出そう
手書き看板はできるだけ頻繁に更新することもポイントです。なぜなら書きっぱなしの手書き看板では、自店舗の繁盛度合いや、料理のおいしさをアピールできないので、集客力が落ちるからです。しかし何を書いてよいのかわからない、という人は以下を参考に更新していきましょう。
ポイント8 最低でも春夏秋冬で書き換える
消費者の食欲は、その人が季節を感じるとその季節に応じた料理に対して増進します。風が冷たいと鍋料理が恋しくなる、というようなことです。ですから手書き看板でも季節感をアピールすると、食欲が増して来店意欲が高まります。したがって最低でも春夏秋冬の四季に応じた内容で手書き看板を書き換えましょう。
ポイント9 ニュースのある飲食店が人気になる
消費者は新し物好きです。新規開店した飲食店がしばらくの間は繁盛するのはそのためです。とは言えどの飲食店もいつまでもその開店景気を謳歌することはできません。しかし、ニュースを発信することで、自店舗の新鮮さをアピールすることは可能です。
たとえば、季節を先取りして牡蠣が入荷した、というような料理についてでもよいですし、店内を改装したことでもよいでしょう。そういうネタがない場合でも、スタッフに新人が入ったこともニュースになります。
ポイント10 定番+売り出したいもので看板を分けよう
手書き看板を2枚置くことができる場合は、1つの看板には定番メニューを書き、もう1つには店として推したいメニューを書いてもよいでしょう。そうすると歩行者は定番メニューとイチオシメニューを比較し、イチオシメニューのメリットを認識してくれるはずです。
メッセージ性を持たせる
手書き看板は、既製の看板や業者が作った看板と違って、書き換え、つまり更新が簡単だというフレキシブルさが最大の強みです。その強みを使って、歩行者や周辺の住民へ自店舗の売りを強く発信しましょう。具体的には以下の点です。
ポイント11 自店舗の専門性をアピール
最近繁盛している飲食店はどこも専門店です。和食もある洋食もある、ということを売りにした大型の総合居酒屋が軒並み不振であることからもそれは明白です。したがって、自店舗をアピールするとしたら、それは自店舗の持つ専門性なのです。
とは言え「うちは焼き鳥の専門店です」と手書き看板に書いても何のアピール力もありません。消費者が「これは専門性が高そうだ」「こだわった料理が食べられそうだ」と思うような情報を発信することが重要です。
具体的には
- 朝とれ地鶏専門店
- 地鶏の希少部位10種類を使った鳥刺し大人気
- イタリア直輸入ピザ窯で調理したピザ提供中
- 手打ち生パスタが人気です
- ソムリエ資格を持つ店長がワインを推薦
などのような内容です。
また先ほど手書き看板の2枚使いを説明しましたが、この時に1枚をその専門性をアピールする内容にしてもよいでしょう。たとえば、ワインの専門店であることをアピールする場合は、手書き看板の1枚の方に用意しているワインリストをできるだけ具体的に書くのです。また書く各内容は最低でも
2014年 イタリアコルシカ島産 フルボディ ピノノワール
という詳しさまでは必要です。
ポイント12 近隣住民とのコミュニケーションを図る
飲食店は近隣住民をいかに顧客化できるかどうかで繁盛するかが決まります。なぜなら遠くから来てくれる来店客はありがたいですが、1回だけの来店で終わることが多いからです。その点近隣住民であれば、気に入れば頻繁にリピートし、自店舗の売上を支えてくれます。
そのためには手書き看板にメッセージを書いて、近隣住民とのコミュニケーションを図りましょう。もちろんコミュニケーションと言っても、その手書き黒板に住民が何か書くことはあまり歓迎できませんから、一方通行の情報発信にはなります。しかし、1つは近隣の情報を発信することで読んだ人とのコミュニケーション的な情報発信ができます。たとえば以下のような内容です。
××公園の桜が今年も満開になりましたね。店長も休業日に早速家族と行ってお花見をしました。皆さんはどうですか。まだの方はぜひ行ってみることをおススメします!
また、手書き看板を読んだ人が来店して書いてあるメッセージに反応するとメリットがある、というような仕掛けをしても近隣住民とコミュニケーションが取れ、なおかつ来店促進効果が上がります。たとえば以下のような内容です。
夏です!皆さんは海派ですか、山派ですか?店長にその答えを言って下去った方に、ワンドリンクサービスします!
まとめ
いかがですか。
手書き看板に何を書いたらよいのかのイメージが湧いたのではないでしょうか。最も大切な点は、手書き看板を書きっぱなしにしないで頻繁に更新することと、ある内容を書いたらその効果を来店数で測定してどのような内容であれば集客効果が上がるかを試行錯誤することです。ぜひ以上を参考に、手書き看板を使って新鮮な情報を発信しましょう。