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2021/6/11

飲食店の人件費について|時給に法的な最低額があるって知ってた?

人材採用・教育のノウハウ教えます。

飲食店の人件費について|時給に法的な最低額があるって知ってた?

飲食店を経営する時に人件費はできるだけ抑えたいのが経営者としての一般的な考えでしょう。しかし逆に抑えすぎると従業員に不満が溜まったりかえって能率が落ちたり、そもそも求人しても誰も採用できなくなってしまいます。それどころか、実は従業員の給料には法的な最低額が決まっているということを知っていましたか?これを守らないとペナルティを与えられることもあるのです。ですから人件費の抑えすぎについても注意が必要です。そこでここでは、飲食店における適正な人件費とはどの程度なのか、ということについて解説します。

アルバイト、パートは「地域最低賃金」にならう

ではまずアルバイトやパートに対する人件費はどの程度のレベルが適正なのかという点から話を進めます。そのために1番重要になる要素の1つは「地域人件費」という人件費の基準です。これはどういうものなのでしょうか。

最低賃金とは

最低賃金とは厚生労働省の労働基準局が毎年示す、従業員に対して最低限支払わなければならない給与を時給換算した人件費の基準です。これを守らない場合、即罰金ということはありませんが、労働基準監督署から指導され、なおもその指導に逆らって給与を上げたいでいると、罰金などのペナルティが発生します。そしてこの最低賃金は毎年改定されますから、アルバイトやパートを雇う時には、常に意識している必要があります。

地域別最低賃金とは

さらにこの最低賃金には、各都道府県に1基準ずつ定められた「地域別最低賃金」と、ある特定の産業で働く労働者の最低賃金を示す「特定(産業別)最低賃金」の2つがあります。飲食店は特定の産業ではありませんから、意識すべきはこのうち「地域別最低賃金」です。ですから仮に複数の店舗を都道府県をまたいで経営している場合は、その店舗ごとに最低賃金が違う可能性がありますから、店舗による時給設定を変える必要も出て来ます。

自店舗のエリアの地域最低賃金の調べるには以下を参照してください。

地域最低賃金

地域最低賃金以上の時給で、競争力のある時給を設定すること

とは言え、ではパートやアルバイトには最低賃金ぴったりの時給を支払っておけばよいかというとそうではありません。最低賃金はあくまで「最低」の賃金なのでそれ以上の時給で支払っても何も問題ないのです。

むしろ他の飲食店が、自店舗の時給以上の額を支払っていると、従業員はみなそちらに流れてしまい、自店舗は従業員不足でオペレーションの質が下がってしまいます。それは顧客満足度の低下につながって、最終的には自店舗売上にまで影響します。ですから時給を決める時には、前提は地域最低賃金以上にすることですが、他店との人員確保競争に勝てる、競争力のある金額にする必要があるのです。

正社員の賃金の決め方

一方で正社員の賃金はどのように決めればよいのでしょうか。

2つの賃金体系

まず知っておいた方がよいのは、正社員、あるいは契約社員などの従業員に対する給与を計算する体系は2つあるという点です。それは以下の通りです。

月給とボーナス制

最も一般的な決め方が、基本給を何かの基準に従って決め、それに役職などの手当てを加えて、月給を定めるという体系です。この月給に一般的にはボーナスが年2回程度加算されて、年収が決定します。これが月給とボーナス制という賃金体系です。

年俸制

これに対して、年俸制という賃金体系があります。これは最初に従業員それそれの年収を決めてしまい、月給はそれを12等分したもので支給するというものです。この場合ボーナスは支給されません。ボーナスを支給する場合は、たとえばそれが月給の2ヶ月分を年2回支給するしたら、月給はそれを勘案して、年俸を12ヶ月+(2ヶ月×2回)=16ヶ月の16で等分して決定します。

正社員や契約社員の給与を決めるうえでは、このどちらでも法的には問題ありませんから、経営者の経営判断でどちらの方法による支給にするかを決めましょう。

正社員の最低賃金とは

正社員や契約社員にも上で解説した最低賃金は適用されます。労働基準局が地域最低基準を示す場合には、あくまで時給なので、月給とボーナス制や年俸制で支払う正社員、契約社員には関係ないという気がするかもしれませんが、それは誤りです。正社員と契約社員の場合も、アルバイトと同様に、給与を時給に換算し、その時給換算の金額が地域最低賃金以上であることが必要なのです。

労働指示上で競争力がないと求人できない

正社員や契約社員への給与は、時給換算して地域最低賃金以上である必要があると同時に、やはり他店、他社と比べて競争力を持っていないと従業員が確保できません。ただし正社員の給与は役職や勤続年数で変わるものなので一概には他社、他店と比較できませんが、唯一単純に比較できる金額があります。それが採用時の初任給です。

初任給は新卒であればその最初に支払う月給分ですし、中途採用の場合もその最初の月給です。この定義はどの飲食店でも変わりませんから、初任給が明らかになる求人広告では簡単に他店と自店舗のどちらの給与が多いか比較できてしまいます。したがって、その初任給が他社、他店よりも低い場合は、求人広告を掲載しても非常に採用が難しくなります。

ですから、正社員、契約社員を求人する場合は、他社、他店の給与をよく見て決める必要があります。しかし、正社員、契約社員の給与は上で挙げた2つの給与体系によって決められますから、他社の求人広告を見て今回だけ1万円上乗せしよう、などということはできません。したがって、給与体系を決める段階で、この自店舗の給与に競争力があるのか、という判断基準も入れる必要があります。

賃金算出方法

以上の基本に、正社員、契約社員の給与の決め方について解説します。

まず正社員、契約社員の給与も時給換算して地域最低賃金以上である必要があります。そこで給与から時給を換算する時の考え方です。

最低賃金の対象となる給与は、毎月支払われる基本的な賃金のことを指します。ですから以下については最低賃金の計算から除外されます。

  • 臨時に支払われる、結婚手当などの賃金
  • ボーナスなど、1ヶ月以上の労働に対して支払われる賃金
  • 残業代(時間外割増賃金)など、決められた労働時間を超える時間の労働に対する賃金
  • 休日出勤手当(休日割増賃金)など、決められた就業日数以外の日の労働に対する賃金
  • 深夜割増賃金など、22時から翌日の朝5時まで労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金を上回る部分
  • 皆勤手当、通勤手当、家族手当など

ですからいくら実際に支払う給与が多くても、その大部分が残業代で占められている、というような場合は、地域最低賃金よりも下回っている可能性があります。

これを例で説明しましょう。

1ケ月の税込みの支払い総支給額が25万円の正社員で、その中に税金と社会保険で2万円、残業代で5万円、結婚祝い金で3万円が含まれていた場合です。そしてこの時の地域最低賃金が800円、この正社員の所定の労働時間が、1日8時間×所定就業日数21日=168時間だったとします。

この時に時給換算の基本となる給与は、25万円から、税金と社会保険2万円、残業代5万円、結婚祝い金3万円を差し引いた15万円となります。この金額を所定労働時間数で割ると、15万円÷168時間=892円と時給換算できます。この892円は地域最低賃金の800円を上回っているので、少なくともその点では問題ないということになります。

歩合制の仕組み

以上は月給が固定制の場合の計算方法でした。しかし中には月給が、歩合給という場合もあるでしょう。その場合どのように時給を計算すればよいのでしょうか。

先ほどの例で、この正社員へ支給した15万円が歩合計算によるもので、なおかつその月の時間外労働と休日度労働を除いた労働時間が200時間だったとします。その場合、時給はその歩合給を稼ぐために必要とした時間数で割ることで計算されます。したがって、この場合の時給は、15万円÷200時間=750円となり、地域最低賃金の800円を下回っていりことがわかります。

ですから経営者は現在の歩合給の給与体系は直さなければならない、と判断すべきことになります。仮にこの事実が労働基準監督署の耳に入ると是正勧告を与えられます。

適切な人件費を考えよう

飲食店に限らず店舗や事業を運営する上では、人件費を適切なレベルに設定する必要があります。

適切な人件費とは何か

理由は以下の通りです。人件費を下げ過ぎると、まず地域最低賃金に抵触してしまう可能性があります。なおかつ、求人しても人が集まらず、逆に従業員が辞めていき、オペレーションの質が下がって顧客満足度が下がり、売上も下がってしまいます。売上が下がれば利益も減りますから、人件費を下げてコスト削減をした意味が無くなってしまいます。

逆に適切な額以上の給与を支払うと、求人もしやすなり、従業員は定着するため、仕事の質が上がって顧客満足度も上がり、その結果売上も上昇する可能性があります。しかし、その売上上昇による利益額のアップ以上に人件費のアップ額が多ければ返って利益は減ってしまいます。

以上の2つが起こる人件費レベルは適切とは言えません。理想は、給与はあまり下げずに、シフトの見直しやオペレーションの改善などで人件費を下げる方法です。たとえば、予測売上が低い日はシフトインを30分遅くしたり、店内に給水機を置いて、水などのキャリーは来店客にしてもらうなどして、必要な従業員数を減らすことです。

自店舗の適切な人件費はFL比率から求める

また適切な人件費は、FL比率でも判断できます。FLとは、Fは「Food」の略で、つまり原価のことです。Lは「Labor」で人件費のことです。したがって、原価と人件費を足したものがFLコストであり、FLコストを売上で割ったものがFL比率なのです。

FLコストは飲食店の経営上、最も多額で、なおかつ営業の質に関係する金額なので、飲食店の利益管理の点で1番注意してみていく必要がある費用です。

そして飲食店における、標準的、つまり適切なFL比率は55~60%です。したがって原価が35%の飲食店では人件費は20~25%が最適ということになります。たとえばラーメン店など原価率が50%と高い業態の場合は、人件費は5~10%しか取れないためセルフサービスの部分が増えるのです。逆に顧客単価の高い高級居酒屋などのように原価が20%の業態であれば、人件費は35~40%取れるので、多くの従業員を雇用して高度な調理としっかりした接客が行えるわけです。

従業員のレベルに賃金を連動させる

また最低賃金は全ての従業員の給与においてクリアしている必要がありますが、それ以上の増額は従業員全てに平等に行う必要はありません。むしろそれは頑張らなくても高い給料がもらえる、という従業員意識につながり弊害が大きいでしょう。そうならないためには、頑張った従業員だけ多くの給与をもらえる仕組みを整備することがよい方法です。たとえばそれは以下のようなものです。

正社員、契約社員の場合は成果報酬部分を入れる

正社員、契約社員の給与の場合は、固定的な基本給に成果報酬を加えましょう。たとえばその月の自店舗の売上に連動させる、従業員の外部営業などによって獲得した来店客をベースに手当を支給するなどです。

アルバイト、パートの場合はスキル習得レベルをランク化する

アルバイトやパートの場合でも、売上などの業績によって上下させてもよいですが、しかし一般的なパート、アルバイトは自分の与えられた仕事をすることが責任範囲なので、自分の手の及ばない売上によって給与が上下しても、だからと言って頑張るということにはつながりません。むしろパート、アルバイトの場合は、自分が頑張ってスキルがアップした、などの点を時給に反映させる方がベターです。

たとえばパート、アルバイトの接客スキル、調理スキルの基準を設け、それをクリアしたら時給を10円アップさせるなどの方法がよいでしょう。

人件費だけでなく、職場の魅力や教育方針も見直しを

ただし、従業員の退社を抑えるためには給与だけを見直しても効果的ではありません。なぜなら正社員、アルバイトに限らず、従業員が飲食店を辞めていく2大理由は「店長が教えてくれない」「仲間と関係性がうまくいかない」という点だからです。

したがって新人が入ったら放置せずにきちんと時間を取って教育する、自店舗のオペレーションのマニュアルを作る、ベテラン従業員の中から教育係を選定するなどの方法によって、従業員にしっかり教育をする体制を整えましょう。また自店舗での懇親バーベキュー大会などのレクリエーションを実施して従業員同士のコミュニケーションを促進すれば、仲間ができて退職を防げます。

まとめ

いかがでしたか。

飲食店の人件費の基本的な知識を網羅して解説しました。人件費は地域最低賃金以上で、なおかつ競争力がある額で設定する必要がありますが、しかし多すぎても弊害があります。したがって適切な人件費レベルをFL比率などによって決めていきましょう。

また給与の計算方法を頑張った人を優遇する計算式に変えたり、しっかりした教育体制や従業員同士のコミュニケーションの促進によって、より従業員のモチベーションが上がるようにしていくことも重要です。

ぜひ以上を参考に、うまく人件費をコントロールし、なおかつトータルでの自店舗の力がアップするようにしていきましょう。

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