商業施設やオフィスビル内の居抜き物件情報が出回らない理由は大きく3点。
- ブランドイメージの低下を防ぐため
- 人気店にピンポイントで紹介するため
- 入っているテナントによって賃貸条件が異なるため
①ブランドイメージの低下を防ぐ
複合商業施設(百貨店・ショッピングモール)大型スーパー・オフィスビルなどはその建物自体のブランドイメージが重要です。施設内のテナントが入替わると言う事は、施設にとってイメージのマイナスにもなるので、表立って募集をする事はまずありません。施設内の空きが出るということはイコール人が集まらない、人気の無い施設、そういう印象にならないよう内々で募集をするのです。
②人気店へピンポイントで紹介
商業施設内の飲食店は誰でも入居できるわけではなく施設側が有名店、繁盛店、いろいろな種類の飲食店が揃うよう施設の構成を考えて誘致していきます。同じ業態、例えばラーメン店がたくさんあるのに、和食の店舗が1軒もないなどバランスが悪いと施設の集客力が弱くなってしまいます。もしテナントが空いてしまったとしてもそれは同じで、他のテナントと業態がかぶらず、人気の高い飲食店にピンポイントでご紹介するので一般には出回らないのです。
③テナントによって賃貸条件が異なる
商業施設のテナントの賃貸条件(家賃・保証金・売上歩合など)はどの店舗も同じというわけではなく、テナントごとにバラバラの場合があります。商業施設の誘致は上記②の通り、基本的にビル側が入居して欲しいテナントへ直接お声がけします。有名店や人気の繁盛店等など、集客力の高い店舗に入居して貰う場合、他のテナントには当然内緒で募集条件を減額、緩和したりする場合があります。すでに空きテナントがあるような家賃収入がなく困っている施設は、賃貸条件を下げても入居を優先させることがあります。
当然ですがテナントによって家賃がバラバラだと、高い家賃を支払っているテナントがその事実を知れば不満に思います。もしわかれば他のテナントが安いのだから、同じ条件にして欲しいと減額の交渉材料にされるリスクがあります。
最後に
商業施設の特長は路面店と違って、個々に販促や広告を打つ必要がありません。全部のテナントから予算を集めて、施設側がまとめて広告を打ち集客力を高めるからです。逆に言えば、いくら美味しいお店であっても施設側の集客力がなければ儲かる可能性が極端に下がります。商業施設に入居する場合は平日、週末を含めてどれだけ施設の集客力があるか、その施設への来店者が飲食店のあるフロアにどれだけ来るのかなどしっかりと調査をおこなう事が大事です。開業したはいいものの、すぐに近所に大型施設が出来て集客力が弱まるなんてこともしばしばあります。周辺の開発状況も頭に入れておくと良いでしょう。