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2021/6/11

忘れないで!飲食店を開業する際に必要な許可と資格とは?

資格・許可・届出のノウハウ教えます。

忘れないで!飲食店を開業する際に必要な許可と資格とは?

飲食店は、人間の口から身体の中に入れるものを調理し提供するビジネスですから、実は非常に求められる衛生レベルが高く、また国民の健康を守るための国や自治体による規制も多いものです。そのため飲食店は思い立った日に気軽に始められるビジネスではなく、相応の許可と資格が必要なのです。そこでここでは、飲食店を開業する際に必要な許可や資格を全て解説します。

営業許可とは

まず飲食店を開業するためには「飲食店開業許可」が必要です。自分で「やろう」と思ってその日からできるものではないのです。具体的には以下のような許可です。

営業許可の基本的な知識

「飲食店営業許可」は店舗が完成する10日前まででに自店舗の所在するエリアを管轄する保健所に届け出て、許可を取るものです。

この許可を得るためには特に資格は必要ありませんが、しかし過去に食品衛生法に違反して行政処分を受けたり、営業の停止処分を受けたりしてから2年が経過していない人が許可を申請すると認可されません。ただしこの記事は基本的に飲食店の新規開店を考えている人が読んでいるでしょうから、1つの例外を除けばこれには該当しないでしょう。その1つの例外が何かは、この後解説します。

営業許可申請方法

営業許可の申請方法は、以下の必要書類等を整えて保健所に提出することです。

営業許可申請書

営業許可申請書は自治体の公式サイトからPDF形式でダウンロードできます。その種類には「法許可業種」と「条例許可業種」の2つがありますが、飲食店開業の場合は「法許可業種」の書類に記入します。

ただし、この提出時には食品衛生管理者が決定している必要があります。食品衛生管理者については後述します。

営業設備の大要

飲食店をして営業するためのすべての設備を記載します。それは調理器具だけではなく照明などを含めたすべての設備です。ただ、自分で白紙に記載するのではなく、あるかないか、どのような種類なのかの丸を付けるだけの項目がほとんどですから比較的簡単です。

配置図

近隣地図と店内のレイアウト、および什器などのすべての設備の配置をマス目のある書面に記入します。0から記載すると結構大変ですが、内装業者の作成する設計図に什器などを書き加えて別紙添付の形で提出してもOKなので、その方法がおすすめです。

許可申請手数料

飲食店営業許可には以下の通り申請料がかかります。

  • 飲食店新規 18,300円
  • 喫茶店新規 15,800円
登記事項証明書

個人ではなく会社として飲食店を開業し経営する場合は、その会社の「登記事項証明書」の添付が必要です。

水質検査成績書

「水質検査成績書」は自店舗が井戸水や貯水槽の水を使用している場合に提出することが必要です。貯水槽とは、高いビルなどに自店舗が入居している場合、水道水をいったん屋上のタンクに貯めて、そこから排水しますが、そのタンクのことです。

この書類は検査日から1年以内の発行のものであることが必要ですが、貯水槽は基本的に年1回の検査が義務付けられていますから必ずあるはずです。不動産会社あるいは家主に確認しましょう。また営業許可が下りた後も、年1回以上は水質検査を行い、その結果の水質検査成績書を保管することが必要です。

食品衛生責任者の資格を証明するもの

営業許可の申請書を保健所に持参した時に、自店舗で働く食品衛生管理者の資格を証明する書類を提示する必要があります。基本的には、後述する方法で食品衛生管理者の資格を取得すると「食品衛生責任者手帳」が交付されますから、それを提示すればOKです。

営業許可を取得するまでの流れを簡単に記載。

ただ営業許可は、この書類を自治体のサイトからダウンロードして記入して保健所に持参するだけでは許可が下りません。その申請の前後にするべきことがあるのです。そのするべきことを順を追って解説します。

事前相談

まず申請前に、自店舗が飲食店としての施設基準に合致しているかを保健所で確認してもらう必要があります。その方法は、施設の工事着工前に図面等を持参の上、保健所の窓口に行って担当者に相談することです。

営業許可申請

それが済んだら、上で説明した書類を整え、営業許可申請を提出します。期日は店舗完成予定日の10日前までです。郵送はできませんから保健所まで持参してください。

施設検査の打合せ

営業許可は書面だけではなく、保健所の担当者による現地確認があって初めて下ります。その現地確認のための日程調整を担当者と行います。

施設の確認検査

保健所の職員が現地を立ち入り検査します。その際には必ず経営者または責任ある担当者が立ち会ってください。その時に施設基準に適合しないと判断された場合は許可が下りません。その際には問題部分を指摘されますから、それを改善したうえで改めて検査日を相談し、再検査を受けることになります。施設基準に合致していた場合は、いつ営業許可書が交付されるかの予定日が「営業許可書交付予定日のお知らせ」という書面でもらえます。

営業許可書の交付

営業許可書交付の予定日になったら、受け取った「営業許可書交付予定日のお知らせ」と印鑑を持参して保健所に行き、営業許可書の交付を受けます。

営業開始

そしていよいよ営業開始ですが、この後も設備を変更したり、あるいは廃業したりし場合も、保健所に届けることが必要です。また食品衛生責任者の名札を店舗内に掲示することも義務付けられています。

 食品衛生法の規定

またもう1つ飲食店開業のために必要な点が、経営者、店長または常雇いの従業員の誰かが、食品衛生管理者の資格を持っていることです。そこでこの食品衛生管理者の資格はどうやって取得できるのか解説します。

食品衛生責任者になるには?

店舗に1人は食品衛生管理者が必要

食品衛生管理者の役割はその名の通り、食品衛生上の管理運営に当たる、ということです。上で書いたように、経営者や店長ではなく、常雇い、つまりパートやアルバイトではなく、フルタイムで働いている正社員の従業員で取得している人がいるのでもOKです。

この食品衛生管理者は、上で解説した飲食店営業許可に氏名を記入し、さらにその人が持っている食品衛生管理者手帳を申請時に提示する必要があるので、飲食店を開業することになったらまず1番最初に取得することを考えるべき資格です。

食品衛生管理者の資格の取得方法

食品衛生責任者の資格を取得するには、自店舗の所在する自治体が開催している、丸1日の講習会を受講するだけです。卒業試験もありません。

受講資格は、年齢17歳以上で日本国籍を持っていることです。外国人の場合は、日本語が理解でき、在留カードまたは特別永住者証明書があれば受講できます。すでに調理師や栄養士などの免許を持っていれば、講習を受けなくても食品衛生管理者の資格は自動的に取得できます。

食品衛生責任者養成講習会の受講方法

受講方法は保健所に行くと往復はがきになっている申込書があるので、それに記入して郵送するだけです。電話での申し込みはできません。また講習会には定員があるので満席の場合には受講できません。申し込みが通った場合は、はがきで受講証が郵送されてくるのでそれを持参して会場まで行き、受講料1万円程度を支払って受講します。

満員で講習が受けられず間に合わない場合

仮に希望の講習日の定員が満席で受講できなかった場合は、日程を変更して再度申し込むか、あるいは希望日の当日に会場に行ってキャンセル待ちの受付をするかのどちらかです。しかしキャンセルがなく、席が用意できない場合は受講できないため、帰るしかありません。

しかしだからと言って、営業許可証がないまま飲食店を開業することは絶対にやめましょう。その場合は食品衛生法違反になり、自店舗は営業禁止または営業停止となります。

ここで最初に書いた、営業許可の申請ができる資格として唯一例外があるという点が出て来ます。つまり、営業許可が下りていないうちに開業してしまうと、営業停止または禁止の処分となるため、営業許可を申請する資格の「行政処分を受けて2年以上経過していること」という項目に抵触してしまうのです。つまり、営業許可が下りていないうちに開業してそれが露呈した場合は2年間開業できなくなるということです。

開業する際に必要なほかの許可、資格

また飲食店を開業する上で必要な許可と資格として、営業許可書、食品衛生責任者の資格のほか、重要なものを1つ挙げます。それが防火管理者です。

防火管理者とは

人間が集まる飲食店でb火事が起こると大惨事になります。それを未然に防ぐために、防火の施設や体制をしっかりとるための防火管理者が飲食店では1人以上いることが義務付けられています。ただしこれは座席数が30席を超える飲食店だけです。

この防火管理者は管轄の消防署で行う講習会に参加することで取得できます。そして取得したら自店舗の開業時に、営業許可とは別に消防署に対して「防火管理者選任届」を提出する必要があります。

また「火を使用する設備等の設置届」も必要です。ただし届け出る基準は、1つのキッチンで利用する厨房機器の電気、ガスの入力の合計が350キロワット以上ある場合です。自店舗の厨房機器がそれに該当するかどうかは、開業時に納入した機器メーカーに確認しましょう。

その他必要な届出についてはこちら

そのほか以下の届け出も必要です。

従業員を雇用する上で必要な届け出「労災保険、雇用保険の加入手続き」
お酒を提供する場合に必要な届け出「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」
菓子製造業許可
酒類販売業免許
風俗営業許可

 飲食デリバリーなどの場合はどうなるの?

また気になるのは、飲食デリバリーのビジネスを行う場合、別途許可が必要かどうかという点です。

まず店舗で営業している飲食店が出前などをする場合には新たな許可は基本的に必要ありません。ただし、飲食デリバリーだけをビジネスとして立ち上げる場合は、ここで解説した営業許可など取得する必要があります。

ただしこの件については全国統一の基準が明確にはなく、各自治体の判断に委ねられています。車やバイクでデリバリーをした場合、自治体によっては貨物自動車運送事業の許可が必要だとする場合もあり得ます。ですから飲食デリバリーをする場合には、念のため所轄の保健所に確認してみましょう。

まとめ

いかがですか。

飲食店を開業するにあたって必要な許可と資格がお分かりいただけたでしょうか。食品衛生管理者の資格は営業許可を申請する上で必須ですし、営業許可がないまま飲食店を開業してそれが露呈したら2年間は営業できません。ですから飲食店の開業を考えている場合は、以上の解説をよく読んで、漏れのないように手続きをしましょう。

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